省エネ適判・完了検査時の軽微変更について(必要書類・ルートなど)

建築物省エネ法の適判が開始されて約2年が経ち、完了検査に進む事例も増えてきました。

工事中の変更は往々にあると思われますが、省エネ適判の完了検査時の軽微変更(計画変更は不要なもの注1)について、適判申請時の計算方法で9割以上を占める「モデル建物法」でのポイントを紹介します。

注1:省エネ適判での計画変更は次の場合になります・・・「1、建物用途が変わった場合」「2、計算方法が変わった場合(モデル建物法←→標準入力法)」「3、モデル建物法でのモデルの変更」 尚、計画変更はその工事に着手する前に省エネ適判の変更申請が必要です

 

大きくは以下の2点がポイントとなります
1・軽微変更には「ルートABC」がある
2・再計算や証明書の発行に時間がかかる。特にルートCに該当の場合は要注意

まず、
1・軽微変更の「ルートA・B・C」について、以下のようになっています。
「ルートA」・・・「省エネ性能が向上する変更」
「ルートB」・・・「一定範囲内の省エネ性能が減少する変更」
「ルートC」・・・「再計算によって基準適合が明らかとなる変更」

ーーーーーーーー
「ルートA」は、省エネ性能が向上する変更で、次に該当する変更となります。
・建物高さ・外周長さの減少
・外壁・屋根・外気に接する床の面積の減少
・空調負荷の軽減となる外皮性能の変更
・設備機器の効率の向上や、損失の低下となる変更
・設備機器の制御方法などの効率の向上、損失の低下となる変更
・太陽光発電設備の設置など、エネルギーの効率的利用を図る設備の設置

ーーーーーーーー
「ルートBは次に該当する場合です。
変更前(省エネ適判通知書交付時)に省エネ基準を1割以上上回る省エネ性能(モデル建物法:BEIm=0.9以下)で、変更後の省エネ性能の低下が10%以内に収まる場合。
そもそも変更前の基準値が1割以上上回っていなかった(BEIm=0.91以上だった)場合は、適用できません。

併せて以下に該当する必要があります。
a)空気調和設備:次の(い)(ろ)のいずれか(注2)に該当し、これ以外の事項についてエネルギー消費性能が低下しない変更
(い)外壁の平均熱貫流率について5%を超えない増加、かつ、窓の平均熱貫流率について5%を超えない増加
(ろ)熱源機器の平均効率について10%を超えない低下
b)機械換気設備:評価の対象となる室の用途ごとに、次の(い)(ろ)のいずれか(注2)に該当し、これ以外の事項についてエネルギー消費性能が低下しない変更
(い)送風機の電動機出力について10%を超えない増加
(ろ)計算対象床面積について5%を超えない増加(室用途が「駐車場」「厨房」である場合のみ)
c)照明設備:評価の対象となる室の用途ごとに、次の(い)に該当し、これ以外の事項についてエネルギー消費性能が低下しない変更
(い)単位床面積あたりの照明器具の消費電力について10%を超えない増加
d)給湯設備:評価対象となる湯の使用用途ごとに、次の(い)に該当し、これ以外の事項についてエネルギー消費性能が低下しない変更
(い)給湯機器の平均効率について10%を超えない低下
e)太陽光発電:次の(い)(ろ)のいずれか(注2)に該当し、これ以外の事項についてエネルギー消費性能が低下しない変更
(い)太陽電池アレイのシステム容量について2%を超えない減少
(ろ)パネルの方位角について30度を超えない変更、かつ、傾斜角について10度を超えない変更

注2:この設備内で(い)または(ろ)のいずれか一方の変更の場合のみ適用可能です。両方の変更は、BEImの増加が10%以内であっても「ルートB」の適用はできません。両方に該当する場合は「ルートCとなります。尚、異なる設備にまたがる変更が複数の場合(例:空調設備(い)と、機械換気設備(ろ)と、照明設備(い))は「ルートB」となります)

ーーーーーーーー
「ルートC」に該当するのは、「ルートA」「ルートB」以外に該当する場合となります。
当然、変更後の計算結果は省エネ基準(BEIm=1.0以下)をクリアする必要があります。

 

以上「ルートABC」について紹介しましたが、もうひとつ大きな要点があります。
それは「変更対象は、省エネ計算の入力項目に該当する室に限られている」ということです。
要するに計算対象外の室はどれだけ変更しても、計画変更や軽微な変更には当たりません。
モデル建物法では設備により対象となる室が決まっているため、その室のみが評価や変更の対象ということになります。

 

2・再計算や証明書の発行に時間がかかる。特にルートCに該当の場合は要注意
次に2つめのポイント、それぞれに必要な書類や要する時間についてです。

「ルートA」と「ルートB」については「軽微な変更説明書」を設計者が作成し、完了検査申請書の第三面別紙として添付する必要があります。(弊社のような省エネ計算代行会社に元(変更前)の計算を依頼された方は、そちらで対応してもらえると思います)
弊社にて省エネ計算代行をさせていただいた案件で軽微変更があった場合は、およそ2ヶ月前に一度変更内容のご連絡をいただければと思います。入力確認シートによりルートA・B・Cのいずれに該当するかを確認します。

「ルートC」については、同じく完了検査の申請時に「軽微な変更説明書」の作成が必要となりますが、併せて「軽微変更該当証明書」を添付する必要があります。これは省エネ適判通知書の交付を受けた適判機関や所管行政庁などに発行をしてもらうものになります。またこの交付を受けるのに、事前に「軽微変更該当証明申請書」の提出が必要です。

このように、特に「ルートC」に該当の場合は非常に時間がかかります。軽微変更のルートがABCのどれに該当するのかの確認に始まり、変更点をまとめたり再計算に要する時間と、軽微変更該当証明書の発行に要する時間を鑑みると完了検査のおよそ2ヶ月前までには申請の準備に入る必要があります。

また「軽微変更該当証明書」の発行には各機関所定の手数料がかかります。再計算を代行会社に依頼される場合はその費用も必要になるかと思います。

 

以上のように、設計者・監理者・施工者は予定通りに検査済証を取得するために、評価対象設備や評価方法を理解し、変更内容を早期に共有して完了検査の準備をする必要があります。

計画書の内容を把握し、変更前・変更後の解りやすい資料を作成することを念頭に、スムーズな検査済証の取得ができるよう完了検査のおよそ2ヶ月前までに準備に入られる(適判機関・所管行政庁または省エネ計算代行を依頼した会社へ連絡する)ようご留意いただければと思います。

 


弊社は「省エネ計算代行」を専門に行っています。
<届出・適判書類作成から提出後の質疑対応、工事後の変更資料作成まで全般>
省エネプランニング株式会社

・省エネ適判・完了検査時の軽微変更について(必要書類・ルートなど)
・建築物省エネ法、適合義務の対象範囲が拡大されます(国土交通省)
・モデル建物法と標準入力法の違い(モデル建物法のメリットと標準入力法が必要な場合)
・省エネ計算、モデル建物法について(手順・マニュアル)
・省エネ計算資料に設備仕様書(カタログ)の添付が必要かどうか
・弊社から設計事務所様への質疑でよくある項目(省エネ計算をスムーズに進めるポイント)
・省エネ計算書類の製本のボリュームについて(用途によるページ数の違い)

 

最新ニュース

PAGE TOP