モデル建物法と標準入力法の違い(モデル建物法のメリットと標準入力法が必要な場合)

モデル建物法と標準入力法の違いについて、様々なところで紹介されている通り以下のようになっていますが、
どのような場合にモデル建物法を使って計算するのか、または標準入力法を使えばいいのかを少し具体的にご紹介いたします。
(※非住宅の省エネ計算を行う場合)

■モデル建物法・・・簡略化された評価方法で、建物用途ごとに仮定したモデルを想定し計算を行う事ができる
※ただし標準入力法よりもやや安全側(不利側)の評価結果となる

■標準入力法・・・・モデル建物法よりも、より精緻な評価を行う事ができる
※ただし計算にかかる時間と経費が増加する

住宅・共同住宅の場合はこの二つとは異なり、住宅基準の計算方法となります)

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まず、非住宅の案件で適判や届出で省エネ計算が必要となった場合、確認済証の交付が目的ということであれば、
基本的にモデル建物法での計算・評価で構いません。
弊社で省エネ計算代行をやらせていただく場合も、基本的にモデル建物法を使用して計算を行っています。

また実際に適判機関に提出されている案件も、90%以上はモデル建物法で計算されています。

以上のようなことから、基本的にはモデル建物法での計算で問題ありません。

<モデル建物法のメリット>
1、省エネ計算資料作成にかかる時間・経費等が削減できる
2、工事期間中の工事管理の手間が削減できる(省エネ基準工事監理報告書の確認項目が少ない)

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ではどのような場合に標準入力法での計算が必要になるのか、それは次のような場合になります。

<標準入力法が必要な場合>
1、モデル建物法ではBEI1.0をクリアできない場合
2、ZEBの補助金申請を行う場合(BELS申請はモデル建物法でも可)
3、行政における容積緩和等を取得する条件となっている場合
4、標準入力法でないと計算ができない箇所がある場合(共同住宅の共用部等)

以上のように、特別な申請等を行う場合に標準入力法で計算することになります。

またモデル建物法のメリットの逆(デメリット)があります。
一つは、標準入力法は基本的に全ての部屋を計算するため、省エネ計算にモデル建物法の数倍時間がかかります。経費増の予想もつくかと思います。

またもう一つ、適判案件の場合は完了検査がありますので、省エネ基準の工事監理も引き続き必要ですが、標準入力法で評価した場合は「省エネ基準工事管理報告書」の確認項目が多いということがポイントです。

例えば、適判案件・事務所用途の場合、「照明」をモデル建物法で評価した場合は、決められた室用途「事務室のみ」を確認しますが、標準入力法で評価した場合は基本的に「建物全ての室」を確認することになります。よって工事監理の項目が増えるということになります。
モデル建物法では同じように「換気」と「給湯」も対象の室用途が決まっているため、確認項目が少なくて済みます。

ちなみに「1、モデル建物法ではBEI1.0をクリアできない場合」は、一度モデル建物法で計算をしないと分からない結果なので、二度目の計算をすることになってしまいます。しかし設計の仕様変更が難しい場合は結果の数値が若干良くなるので、クリアできない場合の対応策となり得るかと思います。

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何やら標準入力法が良くないと言っているような内容になってしまいましたが、もちろん標準入力法を否定している訳ではなく、その結果得られる特典や緩和は、かかった時間や経費以上に建物の価値を高め、PR等に十分なメリットがあります。

また省エネ法制定の背景となった省エネの普及や地球温暖化抑止への貢献にも、大きくつながっていくのではないでしょうか。

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以上のような内容を踏まえて、モデル建物法での計算とするか、標準入力法での計算を行うかのご判断をいただければと思います。

 


弊社は「省エネ計算代行」を専門に行っています。
<届出・適判書類作成から提出後の質疑対応、工事後の変更資料作成まで全般>
省エネプランニング株式会社

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